賃貸の大規模修繕工事とは何をするの?
賃貸で借りているアパート・マンションの部屋、ある日ポストを覗いてみると「大規模修繕のお知らせ」なる通知が入っていました。
いったいどんなことをするのか? また、オーナーから見るとどんなことをすれば良いのか? といったことの参考にして頂ければと思います。
大規模修繕工事とは
築年数がそれなりに経過した賃貸物件は、その性能を維持するため、折を見て修理する必要に迫られます。
壁にヒビが入ってきたり、水漏れが発生したり、断線を継ぎ直したり。
どれも住民(賃借人)の住み心地に悪影響を及ぼすものですし、オーナーにとっては住環境の快適さを保つため、それに物件の価値を下げないため、将来も安定して入居者を確保するために実施されるものです。
民法606条には、次のように記されています。オーナーは物件の修繕義務があり、住人はそれを受け入れなくてなりません。
- 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
- 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
修繕する場所は外装だけ
修繕する場所は、外装・共有部分が主となります。内装・いわゆる専有部分には借り主さんが住んでいますから、ここでは対象外ですね。
具体的には以下のような箇所です。
- 植樹伐採
- 建物周囲に植えられている樹木。1Fの部屋では、窓の正面に植えられていることもあります。
- 電気系統
- BS/CSアンテナなどの移設
- 通路の照明交換
- エレベータ
- 防水・洗浄・シーリング・塗装
- 屋上(最上階の部屋だと、屋根からの作業音や足音が響きます)
- 建物の側面・タイル
- バルコニー・ベランダ
- 廊下・階段(長尺シートなどの貼付)
これに合わせて、作業する際の足場組み立て・片付け・作業後のクリーニング・検査などが含まれます。
修繕中は住環境が制限される
作業中は仮設足場で建物を囲うようになり、また作業員が毎日行き交います。
- 騒音
- 薬品の匂い、ホコリなど
- 日照量の低下
- バルコニー(作業時間の朝〜夕方まで、作業員がベランダを通行する
- 洗濯物が干せなくなる
- 植木などが出せない
- カーテン等をしめないと視線が気になる
期間は2〜3ヶ月。季節は夏・冬を避けるのが望ましい
住環境への影響を少なくするため、できるだけ短期間で終わらせることが望まれるでしょう。仮設足場で日当たりが悪くなって洗濯物が干せず、作業音で騒がしい毎日が続くと、住民のストレスが貯まり不安が高まってきます。
バルコニーの利用が制限され、場合によってはエアコンが使えなくなることも考えられます。そのため、夏や冬はできるだけ避けた方がよいですね。極端な気温は作業する業者にとっても健康面が心配です。
私の住んでいた賃貸では、9〜11月に修繕工事を行っていました。
作業に入るまでに前もって調査されるでしょうが、作業中に新たな破損がみつかり工期が伸びる場合もあります。
住民(借り主)に費用は発生しないのが普通
修繕工事の連絡を受けて、お金を請求されないのか心配になる方がいるようですが、賃貸の修繕工事はオーナー(貸し主)の都合で行われるものであり、基本的に費用を要求されることはないはずです。むしろ、そういうことがあれば不当な扱いを受けているとして訴えできます。
もし、そういう費用を請求するのであれば、物件の契約前にそういった取り決めの説明を受けているでしょう。賃貸でなく、マンションの部屋を購入した際には「修繕積立金」というものがあるようです。
おわりに
通常、賃貸であれば修繕費用は支払うこともなく、2〜3ヶ月の工期を我慢すれば外装は綺麗になって長く住める部屋となってくれるでしょう。